脳内出血で右片麻痺になった私は、リハビリテーション専門のボバーズ記念病院に3ヵ月入院しました。
入院する前の私は「世界で一番可哀想な人間」と思っている節がありました。家でもワガママ三昧、家族 も私に対して恐る恐る、気を使っていた状態です。
しかし、ボバーズ記念病院に入院して、考え方が一変しました。入院患者は100人は下らなかったと思います。 もちろん、いろいろな麻痺の方がいました。私より麻痺がきつい人、私より麻痺がましな人...でも一番驚いた ことは、私と同年代、もしくは私より若い人もたくさん入院していたということでした。
老若男女が一生懸命、明日に向かってリハビリテーションに精を出していました。動かない手足、神経を集中 して少しでも動くように頑張っている...私と同じ境遇の人が歯を食いしばりながら頑張っているのです。 「俺はなんて器の小さいしょうもない人間やねん。」 ボバーズ記念病院で自分自身を見つめ直すことができました。
また、ボバーズ記念病院の入院には規則がありました。始めの1ヵ月は8人部屋で過ごすことです。これも私にとって、 勇気づけられることでした。普段の生活で私1人だけが障害者、しかし部屋を見渡すと、皆何らかの障害を持っている わけです。「障害で苦しんでいるのは俺だけじゃないねん、皆同じように苦しみをしょってるねん」
ボバーズ記念病院の入院生活が、私の転機になったのは言うまでもありません。
ボバーズ記念病院で毎日2時間、リハビリテーションを行います。1時間は理学療法士(PT)と、そしてもう 1時間は作業療法士(OT)と...。
理学療法士は言ってみれば、細かな部分、例えば指の動きなどを治療してくれます。柔らかいボールを 握らせて、右から左へとゆっくり移動させるように神経を集中させて...。
作業療法士は身体の大まかな動きを治療してくれます。例えばマットの上で横になり、動かない方の足全 体を腰から動かせるように運動させて...リハビリテーションで大事な事は神経を集中させることです。 そうすれば脳のシナスプ神経が徐々に増えていくからです。
私だけかもしれませんが、入院当初は性格も尖っていたので、扱いにくい人間だったと思います。しかし、 PT・OTで私の担当になった人は本当に心を込めて私に接してくれました。人間は感情動物、お互いの感情が 合わなければ上手くいくものもいかなくなります。
2人とも女性で、私より10歳ほど若かったと記憶しています。私はいつもブスッとしていて、何か話しかけれれば 無愛想に応えるだけの感じでした。しかし、2人とも毎日毎日、笑顔で私に接しリハビリテーションのこと以外も いろいろ話してくれました。
笑顔というものを忘れてしまっていた私にとって、改めて見る笑顔は本当に新鮮でした。私が笑顔で挨拶をし 始めたのも、すぐだったと記憶しています。